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​私の実家の話

 私の実家は、臼杵市にある築40年以上の木造二階建ての家です。

 祖父や父がいた頃は、ここで自転車屋を営んでいました。
 今はもう店を閉じていますが、私にとっては子どもの頃からたくさんの思い出が残る家です。

 昔の家ですから、夏は暑く、冬は寒い。
 断熱材もほとんど入っておらず、お風呂は昔ながらのタイル張り。段差も多く、「バリアフリー」という言葉とは無縁のような家でした。

 私は三人兄弟の真ん中です。兄は福岡、妹は大分市へ。
 子どもたちが家を離れたあと、母は長い間、この実家で一人暮らしをしていました。

 数年前、母が大きな病気をしたことがあります。

 その時、私は母に聞きました。

「一人暮らしが大変になったら、こっちで一緒に暮らしてもいいんやけんな。」

 すると母は、

「ありがとう。でもまだ元気やし、友達もおるしな。何十年も暮らした家やけん、まだ離れたくないんよ。」

 そんなことを話していました。

 その時に気づいたことがあります。

 私が一番リフォームをしてあげたいと思っていたのは、実家の母のような人だったのかもしれません。

 古くなったからといって、みんなが新しい家へ住み替えたいわけではありません。

 寒い。


 段差がある。


 お風呂が使いにくい。


 床が傷んできた。

 不便なところはいくつもある。

 それでも、長い年月を過ごしてきた家には、その家にしかないものがあります。

 泣いたことも、笑ったことも。
 子どもたちが大きくなっていったことも。

 柱には子どもの成長を刻んだ跡が残り、家のあちこちに、その家族だけの思い出があります。

 母は三年前に亡くなりました。

 おかげさまで、最期まで住み慣れたこの家で過ごすことができました。

 今振り返ると、母が「まだこの家を離れたくない」と言っていた気持ちが、以前よりもよく分かるような気がします。

 最近は、離れて暮らす息子さんや娘さんから、

 「実家の親が心配で」

 というご相談をいただくこともあります。

 帰省した時にでも、一度聞いてみてください。

 「家のことで、不便なところはない?」

 うちの母なら、

「もう古い家やけん、どこもかしこも悪いわ」

 と笑っていたと思います。

 でも、全部を新しくする必要はないと思っています。

 今、直した方がいいところ。
 少し工夫すれば暮らしやすくなるところ。
 まだそのままで大丈夫なところ。

 その家でこれからも暮らしていく人と、一緒に考えればいい。

 古い家には、古い家なりの良さがあります。

 築40年。
 まだまだ40年。

 住み慣れた家で、もう少し暮らしやすく。

 そのお手伝いが、私にはできます。

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